福地 翼
Vol.109 /2018/11/28
こんにちは、福地です。
サイケまたしてもも今週のを入れて残り4話です。
この漫画を描こうと思ったキッカケは、前作のアナグルモールが終わった時、前担当のSさんがすすめてくれた「恋はデジャブ」でした。
ビル・マーレイ演じるフィルが、とある町に閉じ込められて抜け出せなくなるタイムリープ映画。
フィルは最初そのループから抜け出すために必死になりますが、次第に死を考えるようになります。
ところが死ぬことすら叶わないことがわかり、いつしかその町の人たちのために何かできないかと考えるようになる…という内容です。
僕がその映画に惹かれたのはその「誰かのために」というところでした。
死ぬ事すらいとわない無償の善意こそ、本当のヒーローだと思ってたからです。
新しいヒーロー物を描くにあたって、そのフィルの生き方がまさに僕の描きたかったヒーロー像そのものでした。
ただ、その善意はどこか危険なものと表裏一体な感じがしていて、その危うさの中で葛藤する主人公が描けたらいいなぁと思い、この漫画のテーマの一つに据えました。
そしてこの漫画の下敷きになっているもう一つの作品が、曽田正人先生がサンデーでかつて連載していた「め組の大吾」です。
曽田先生の描く『天才』は、いつもどこかに危うさを秘めていて、それがその主人公の魅力の一つでした。
大吾も中盤、火に魅せられた消防士のヒーローとして描かれていましたが、新しいヒーロー物を描くにあたって僕が自分に課していたのが、この「危うい天才を描く」という事でした。
もちろんサイケは「努力」の人ですが、ここぞという時の吹っ切れた感じは、やっぱり他人には理解しがたいものがあったと思います。
(仲間の氷頭やアナにすら、時々引かれてましたよね。笑)
そのサイケが、最後にどんな答えにたどり着くのか、それが知りたくてこの漫画を描いてきました。
あと残りわずかですが、最後までサイケ達の行く末を見守っていただけたらと思います。
ではでは、今回はこの辺で。