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若木民喜

Vol.36 /2006/09/06

最近ドラえもんプラスをトイレ文庫にしているせいか、おかしがドラ焼きばっかりになっている若木です。こんにちは。

今回は36回目。話は36話目までやってきました。トライアッドの砦に入って何話経ったでしょうか。もう覚えてませんけど。今回はまた新しいモノバイルが出てきました。ナトリウムのモノバイルです。コモンのモノバイルですが、ユウキにとっては属性的に不利な敵。ユウキはどうやって戦うのでしょうか。・・・この回は、とにかくグラデーションのスクリーントーンが減りました。最近、トーンがとみに減っていきます。ボクの原稿はまあ平均ぐらいのトーンの使い具合だと思うのですが、それでもトーンが面白いようになくなっていきます。61のトーン100枚買っても、3か月保ちません。そんなに使ってるかなぁ。

それにしてもトーンを100枚単位で買うとは、何と贅沢なこと。

ボクが初めてスクリーントーンを買ったのは高校時代じゃったのう・・・。おっさんは昔話しか取り柄がないので、昔の話をするわさ。若者よ聞いてくれ。「初めて買ったスクリーントーンの巻」だコロン! 何番を買ったかまで覚えてるよ。レトラセットの72番や。何に使うためか。

うる星やつらのラムちゃんの髪に貼るために買ったんや。

高校時代のボクは、高橋留美子先生の絵を模写することに人生をかけていたのね。で、最初のスクリーントーンも、ボクが描いたラムちゃんをさらにグレードアップ! させるために購入した訳。あの頃のスクリーントーンは一枚600円ぐらいすんのさ。今は大体一枚200円ぐらいだから、ざっと3倍はした。ボクの小遣いは当時2〜3000円。このなかからジュース代も出さなイカン。サンデーも買わなイカン。センイシティのキングオーナーで変形制服買うために金も貯めなイカン。金あらへん。だから、トーン一枚買うのも絶対に失敗は許されん訳。めっちゃくちゃ勇気がいった。

ところが。なけなしの金抱えて大阪梅田三番街の画材店に買いに行ったら、山ほど同じようなトーンがあってどれがどれかさっぱりわからん訳。シロートに40線の10%と50線の10%の違いなんてわかるはずないの。このなかのどれがラムちゃんの髪に貼ってあるトーンなのか・・・ちっともわからない。俺は逃げ帰った。そして次の日、うる星やつらの単行本を持って、俺は何十分もかけてマンガと同じ濃さのトーンを探した。その結果、これに違いない! と思って買ったのが、レトラの72だったの。

トーンを貼ったラムちゃんは、本当にプロが描いた絵みたいだったよ・・・。

まんがってのは、描いている過程で1回ガッカリ、そして2回嬉しい瞬間があって。がっかりするのは、ペン入れを終わって、消しゴムをかけた瞬間(かなり落ち込む)。その後、ベタを塗ると飛躍的にまんがっぽく見え、さらにトーンを貼ると、もう最高にまんがっぽい訳ですよ。高校生まで、ボクは自分の絵にベタを塗ったことがあったが、トーンを貼ったことはなかった。初めてラムちゃんの髪にトーンを貼った時の気持ちは今でも覚えておるね。もう「留美子先生が家に来てこれを描いたか?」と錯覚するほど、自分の絵が変わったように思えたものだ。

しかし、ボクはこの時、忘れていたのです。単行本は縮小印刷で、本当の原稿はもっと大きなサイズで描いているということを。スクリーントーンも、実際の原稿では、雑誌で見るよりも大きなドットのトーンを使っているのですね。にもかかわらず、単行本で縮小印刷されているトーンと同じものを買って喜んでいるとは。何と間抜けな。しかし、それに気づいても後の祭り。もうお金が残ってなかった。

という経緯もあって。ボクはラムちゃんの髪のトーンは何番なのか。未だに知りたい気持ちがあるのです。

そして、何と、それを確かめるチャンスがあったのだ!

昨年の謝恩会。新連載を始めたボクは、小学館の謝恩会に参加。なんと、高橋留美子先生に挨拶をする機会に恵まれたのだよ!

ボク:「こ、この度、新連載をすることになりました若木です。(ラムちゃんの髪のトーンは何番使ってたんですか?)」
留美子先生:「ああ、どうも、こんにちは!」
ボク:「は、初めまして、よ、よ、よろしくお願いします。(ラムちゃんの髪のトーンは何番使ってたんですか?)」
留美子先生:「かわいい絵ですよね」
ボク:「あ・・・ありがとうございます!(ラムちゃんの髪のトーンは何番使ってたんですか?)」
留美子先生:「・・・・・・・・・」
ボク:「・・・・・・」




(ラムちゃんの髪のトーンは何番使ってたんですか?)
(ラムちゃんの髪のトーンは何番使ってたんですか?)
(ラムちゃんの髪のトーンは何番使ってたんですか?)
(ラムちゃんの髪のトーンは何番使ってたんですか?)
(ラムちゃんの髪のトーンは何番使ってたんですか?)
(ラムちゃんの髪のトーンは何番使ってたんですか?)



ボク:「そ、それでは、失礼いたします。」
留美子先生:「がんばってください」


・・・・ま、聞ける訳ないわな。

という訳で、ボクはラムちゃんの髪のトーンがどこの会社の何番なのか、未だに知りたいのです。