藤田和日郎
Vol.45 /2009/11/18
こんにちは! お元気ですかいね。
だんだんと冬の足音が聞こえてきますねー。
アシスタントのボブなんて「寒いっスね〜」言いながら、くつ下はいてないんだぜー。
「だって部屋の中じゃ脱ぎたいんですもん〜」 だったらおまえ… いや…いい(苦笑)。
みんなはカゼなんかひかないようにね。
11月の1日と3日に、それぞれ九州の久留米と四国の松山でサイン会をしてきました。
あったかく迎えてくれて、ありがたかった〜。
サイン会の想い出をここで書こうとして、いつも途方に暮れるんだけど、その時その時、目の前にいる人のリクエストの絵を描けるか描けないかの崖っぷちで右往左往しているんで、もう必死。
だから、順番に整然とレポートをいつも書けてないのよ。悪いね。今回もそう。
久留米では、サイン会で待っている人達に色紙を回して下さった方がいて、色紙に僕へのメッセージがたっくさん。いい記念になりました! しかしいいアイディアだね、ありがとうね。
それと、漫画家の業として、現在連載している作品についての意見は、どうしても聞き逃せないんだよね。
「月光が、うしおやナルミに比べてキャラクターが今イチなのは、彼の『過去』が描かれていないからじゃないですか?」と
言ってくれた男子がいたよ。
なかなかサイン会じゃこういうコトバは聞けないんだ。本人だって勇気が要るだろうし。
でも嬉しいんだよね。こういうの。いや、ムリして余裕見せてるんじゃないよ。こういう意見に僕の考えを言えないことはないからさ。(なにせ、みんなが学校やお仕事をやっている間にも、『月光条例』のコトだけ考えてる、こちとらまんがマシーンだぜ。)でも、自分の考えているコトを、よりちゃんと描こうと意識するよね。こういうふうに言われるとさ。
それとか意見によっては、その考えをとり入れてもう一回、自分のストーリーを検証するよね。どっちにしてもいいコトづくめ。自分にとって『月光条例』が良くなるコトは最高のコトなのよ。本当にありがとな。ちなみに何と答えたかと言うと…
「月光は、うしおやナルミと違って、『現在』の行動(リアクション)のみで、その性格を好いてもらおうと挑戦してるキャラなんだ。漫画家も作品によってそういう挑戦しないと、自分自身に飽きちゃうんだよ。20年描いてきたんだし。」
本当は作品半ばで自分のキャラクターに関する意図とか、余計なコトはこの場所で言いたくはなかったんだけど、話の流れ上、書いちまいました(ここで書かないと、おさまらない流れでしょ)。
もちろん久留米では他にもたくさん、力づけられる意見や、感想をいただきました。とにかくお会いできてよかったです。ありがとうね。
四国・松山では、サイン会の朝、松山城にのこのこ出かけました。泊まっていた所からサイン会場の書店の前を通って松山城までのロープウェイ乗り場へ。何か町中がお祭りっぽくて出店とか出てて楽しいにぎわい。(当日は、会場書店の周囲でフリーマーケットも行われてました・編集部)
松山城は、あれは素晴らしいですね。ちゃんと三の門、二の門、一の門と残っていて、櫓(やぐら)、天守も昔の通りに入れて、内部も見て回れる。中では歴史と解説のビデオもあり、甲冑着てみようコーナーもありました。(サイン会がなかったら、絶対着てたのに…)
展示物や、内部を写真に撮ってもしかられないというのは漫画家にとっては、とってもありがたい。何よりも、そこで働いてる方がみんな、松山城が好きで好きでしょうがないって感じがとても良かったです。入口で昔の警官の格好をした方に、「このお城いいっスねえ」と話しかけると、「ここから非常の時はなわばしごをおろしてね…」等、色々説明してくれましたもの。
それで、そこで偶然出会ったサイン会に参加する方と写真撮ったりして帰ってきたんだけど、その姿を、やっぱりサイン会に来てくれた別の方に見られていたらしく、出店でカレー味のじゃこてんを買っていたのまで、サイン会で指摘されちゃったのでした。(皆さんに言っときますけどねー。町で見たら、話しかけてよー。これがじゃこてんだったから、まだ笑い話になるけど、いやらしいものだったり、ひからびた猿の手だったり、いやらしいものだったりしたら、恥ずかしいでしょ?)
松山の方も優しく迎えて下さいました。
お手紙や、力作のイラスト…お菓子や、お酒… 中には珍しいことに、スクリーントーンというのもありましたー、ありがとうございました。
リクエストも、「はいはいOKですぜ」というのから、「なにアータ、そんなの色紙に描いてホントに持っときたいんかい!?」というのまで幅広くありましたっけ。
でもね、サイン会を必死でやって、帰りはいつもぐんにゃりでもいつも思うことは、嬉しいってことですよ。
ああ、描いてて良かったって。
そのサイン会も、あと残すトコロ1か所。
21日の新潟。がんばりますれば、待ってておくれ!
『月光条例』、今ノリノリで描いてマス。やっぱりねー。「何を今さら!」って言われるかもしれないけどね、自分はアクションを描くのが好きですわ。「桃太郎」編、色んなヤツの色んな技が出てきて(っつっても出してるのは僕なんだけども)楽しいや。
では、また。元気でね。
久留米のカレのように、色々な意見、待ってるよー。