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藤田和日郎

Vol.38 /2009/05/02

 こんにちは!
元気ですか!? 僕はとても元気です。
しかも、とっても興奮してるし。
あのさ、誰にでも前から会いたい人っているんじゃないかね? 好きなミュージシャンとか、お笑いの人とか…尊敬する人でもいいし。
自分はね、もうやっぱり、会いたい方は漫画家さんなワケですよ。自分のもう一番やりたいコトの土台を〈作品〉でつくってくださった尊敬する漫画家さんに会って話をするのが、もう最高の時間なんですよ。

高橋留美子先生に初めてお会いした時(『うしおととら』の時だったなァ。二週間くらい空に向けて叫んでる感じがおさまらなかったっけ)。
去年、吉田 聡先生に初めてお会いした時(かっこ良かった〜。吉田先生の口から出る言葉みんなが『湘南爆走族』の江口だったり、『ちょっとヨロシク』の苺谷だったり、漫画に嘘がない正真正銘のご当人。泣きそうになっちゃったよ)。
このあたしのゴッド オブ サンダーコスモ オブ ギャラクシーワールドユニバースね。もちろん他にも大好きな先生はたくさんいて、そのお会いした時の思い出もあるのだけど、出会った(その作品と出会い、心に衝撃を受けたコト)時間がどんぴしゃりなゴッド オブ サンダー…ああもう…ゴッズは限られてきます。
その中でのゴッドにまた一柱[ひとはしら](お一人のコトを神様の場合こう言うのよ)会ってしまった! 対談のお仕事だったんだけど。

諸星大二郎[もろほしだいじろう]先生。
「週刊モーニング」で『西遊妖猿伝 西域篇』を連載中の、民俗学的伝奇漫画のカリスマ的大スターでございます。そうです! もう言い切っちゃいますよね。ええ、星だけに大スターですよ! 恥ずかしがりませんとも! だって本当にそうなんですもん。
80年代からこっち、現代に起きる怪異現象を作品にしようとする上で、諸星先生の漫画を意識しなかった作家はいるのでしょうかね?
諸星先生のヴィジュアルイメージよりスゴイのを!…とか、諸星先生の嘘のつき方より上手なのを!とか… オレの方が知識はスゴかろとか… 多かれ少なかれ、怪異作家は横目で諸星先生を意識していたのに、まァ間違いはありゃせんのですよ。
「民俗学」という学問があるのだって、あたしゃ『妖怪ハンター』の稗田礼二郎[ひえだれいじろう]先生から教えてもらった気がするんですよ。

先生とのお話の内容は、4月23日発売の講談社版『西遊妖猿伝 大唐篇』7、8巻を見ていただくとして…… いや、ここで自分が言いたかったのは、人間舞い上がるとひどいよって話。
僕も20年も漫画家やってるんですよ。だけどね、あこがれの人の前に出たら、あれね、ただのダメファンね。ダメなのは、先生の話を聞く前に自分の想いが止まらなくなっちゃうのよ。高橋先生の時は、先生が引くくらい『忘れて眠れ』や『闇をかけるまなざし』や人魚シリーズの話をぶちかましてしまって…申し訳ありません。
諸星先生との対談も、あれだわ、好きさが大空回りして、失礼なコトをほざくわ、自分ばっかりがしゃべる(これが一番ダメだった)わ、主語と述語がちゃらんぽらんだわ、ひどいもんだったもんなァ。
必要以上の宣伝もナニなんですが、浮かれた大人げない漫画家のダメファンっぷりが珍しいと思う方は、講談社版『西遊妖猿伝 大唐篇』7、8巻でそれがご覧になれます。

先生はお優しくて慎ましい、それでいてユーモアのある素晴らしい方で、本当に楽しい時間をすごさせていただきましたが、あたしだけが楽しんだってねえ… おわびのファックスをすぐ送っておきましたのです。

「諸星先生、自分だけが下品に大爆笑しており大変申し訳ありませんでした。」トホホ。

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