――まんがの世界に入ったきっかけを教えて下さい。
  • 浅野
    1. 17歳のときに、「ビッグコミックスピリッツ」に投稿用の原稿を持ち込みしたんですが、連載中の作家さんが原稿を落としていたらしくて、雑誌に穴が空いてしまい、その埋め合わせでデビューしたんです。
――初めての持ち込みでデビューはすごいですね。
  • 浅野
    1. 掲載は予想外でした。最初はそんなふうにラッキーな感じでデビューしてしまったんです。
――ラッキーなだけでは雑誌に載せられないと思います。きっと光るものがあったのではないでしょうか。
  • 浅野
    1. 今の作風と全く接点がない内容なので、どこがよかったんだろうと……あのときは僕も一生懸命喋ったはずなんで、その気概を汲んでもらえたのかな。とにかく高校時代はあまり勉強もできなかったし、大学にも行きたくなかった。絵を描く仕事に就きたくて、その足がかりをつかもうと必死でしたね。
――まんがはいつ頃から描いていましたか。
  • 浅野
    1. 子どもの頃からノートに描いたりはしていたんですが、ちゃんと原稿用紙を使ったのはそのときが初めてでした。持ち込んだのはギャグまんがで、ショートショートの2ページとか4ページのものを20~30ページ分くらい描きためて持って行ったんです。ページ数が短かったから代原として埋め合わせにちょうどよかったんでしょうね(笑)。
――ギャグを描いていたとは意外です。
  • 浅野
    1. 子どもの頃からノートに描いたりはしていたんですが、ちゃんと原稿用紙を使ったのはそのときが初めてでした。持ち込んだのはギャグまんがで、ショートショートの2ページとか4ページのものを20~30ページ分くらい描きためて持って行ったんです。ページ数が短かったから代原として埋め合わせにちょうどよかったんでしょうね(笑)。
――絵柄も試行錯誤したのでしょうか
  • 浅野
    1. そうですね。持ち込んだ当時好きだったのが、楳図かずおさん、古屋兎丸さん、山本直樹さん……初めの頃は、特に兎丸さんに憧れていました。すごい写実的な絵柄を使った実験的な描き方をしていて。自分でもまんが的な絵より、もっとリアルで斬新な描き方をしようと考えていたんですが、技術が伴っていなかったので、かなり稚拙だったと思います。
――絵柄はリアルな路線だったのですね。
  • 浅野
    1. リアルな絵が好きだったんですが、初めての連載(『素晴らしい世界』)を描いた頃に、よしもとよしともさんの絵がいいなと思って、リアルにし過ぎないでこのくらいシンプルにしたほうがストーリーまんがを描く上ではいいのかなと。色々と紆余曲折がありました。
――試行錯誤の末に今の絵柄に近づいていくんですね。
  • 浅野
    1. でも背景がどうしてもうまくならなくて……。当時アシスタント経験もほとんどなかったんで、プロがまんがをどうやって描いているのか知らなかった。資料を見ないで描いていると思っていたんです(笑)。
――情報が足りなかった(笑)
  • 浅野
    1. だからほとんど想像で描いていたんですけど、途中でどうもそうじゃないらしいと気付いた(笑)。それでちょっとずつ資料写真とか撮るようになりました。でも当時はデジカメも大した性能じゃなくて、基本的には銀塩カメラで現像していたので、お金がすごくかかる。だから、なるべく少ない写真資料を見ながらやっていたんですが、なかなかうまくいきませんでした。
――お金のない時期に現像代は痛いですね。
  • 浅野
    1. それである日、高橋しんさんのところに、5日間だけアシスタントに行ったんです。そこで初めて、パソコンを使って描いてる現場を見ました。アシスタント一日目は仕事場の引っ越しを手伝ったんですが、そのときにブラウン管時代のiMacを大量に導入してるのを見て、どうやらこれで描くらしいと(笑)。
――(笑)。このカラフルな機械で。
  • 浅野
    1. それで、絵が上達するのは時間かかりそうだから、PCを使うことでなんとかできないかなと。でも、当時そういうデジタルの教本というのがあんまりなくて、唯一見つけたのが、太田出版から出ていた『電脳漫画技研―コンピュータで漫画を描く方法 達人たちのスーパーテクニック』という本でした。そこに、山本直樹さんや古屋兎丸さんのインタビューも掲載されていたんです。
――ちょうど好きなまんが家が載っていたんですね。
  • 浅野
    1. 古屋兎丸さんが、写真を水色にプリントしてその上に直接描くというやり方を紹介していたんです(水色はモノクロ印刷では出力されない)。なるほどと思って。そこから写真を使って、色々と試すようになりました。
――PCは絵のクオリティを上げるために導入した。
  • 浅野
    1. できれば一人で作品を作りたい、可能な限り少人数でやりたいという気持ちがあったので、PCを使って限界まで効率化しようという気持ちもありました。あとは単純にトーンを貼るのがすっごいキライっていうのもあるんですけど。ホントにイヤで。
写真とネーム
ネームはPCで描いている。写真に合わせて構図を決めることも多いとか。しかし実際の作画作業は、ほとんどアナログで行うそうだ。
BARはラーメン屋だった
このページは、場面設定としてはBARだったが、使ったのはラーメン屋の写真だったとか。写真にはラーメン屋店内の看板があったらしい。原稿では看板を消し、かわりに剥製を描き加えている。キャラクターはもちろん、モブや小物類もすべて浅野先生が描いている。