クリーチャー・フィギア界の巨人・韮沢靖の生み出す圧倒的な存在感のビジュアル。これをアニメで動かしたい。これを漫画で生かしたい。韮沢キャラに魅入られた各界のクリエーターたちが集い、そして、プロジェクト[ギルステイン]が誕生した。
先行したのはアニメーションだ。アニメ製作プロダクション・ACC菅谷信行の企画・全面プロデュースのもと、企画は発進する。導火線に火をつけたのは、当時、大ヒットゲーム『バイオハザード・ガンサバイバー』に参加していたシナリオライター・酒井直行。
『バイオ…』では、一方的にやられるばかりのゾンビ、モンスターたち。彼らに感情があったとしたら? それぞれが、悩みをかかえていたら? 何のために自分は存在するのだろうと、自問したら? そして、人間側でなく、彼らにこそ正義があったら? 酒井のイメージは暴走していく。そして、行き着く。
「俺は悩める異形のモンスターがヒーローになる物語を書きたい!」
1998年、プロデューサー・菅谷は、酒井、スタッフと共に『クリサイド』というアニメを企画する。
そして、韮沢靖と出会う。
瞬時に意気投合する韮沢と酒井、スタッフたち。1か月後、韮沢の持ち込んだドローイングに菅谷、酒井たちは絶句する。そこには『ギルステイン』というタイトルが記され、何体かのクリーチャーが描かれていた。同席した誰ものイメージを越えていた。
「これだ、俺たちが見たかったのは、作りたかったのは、これなんだ! こいつを動かしたい!」。即決。
かくして、アニメーション企画『ギルステイン』は立ち上がった。『ギルステイン』とは、「ギルティ・有罪」と「フランケンシュタイン・悲劇の人造人間」からとった韮沢靖発案の造語である。
アニメ企画『ギルステイン』は、それ自体がモンスターのごとく加速度的に変貌していく。企画の悪魔的魅力がプロデューサー・菅谷を奔走させる。当初は、オリジナルビデオ3部作。それが、劇場用アニメへ。CG導入が決定。海外配給も決まる。製作委員会も結成され、2000年秋の公開に向けて、各方面へのメディアミックス企画も展開されていった。
そして、1999年、晩秋。ある偶然から、月刊サンデーGX創刊準備中の編集者の手元にアニメ『ギルステイン』の企画書が届く。当然のごとく韮沢靖の絵に釘付けになる編集者。本能が囁く。
「こいつを漫画にしたい。動かしたい。そして、読ませたい。いや、なにより俺が読みたい!」
『ギルステイン』漫画化企画が動き出した。酒井との初打ち合わせ。編集者は開口一番
「アニメとはまったく違うキャラクター、設定、物語をお願いしたい。韮沢さんのビジュアルをアニメとは違うかたちで生かしたい!」
無理難題。しかし、酒井は平然と受ける。
「面白そうですね。やりましょう」
酒井の快諾を受け、漫画家に打診。意中の人はすでにあった。
田巻久雄。読者の多くには馴染みはないかもしれないが、知る人ぞ知る、SFマインドあふれる技巧派。その表現力の可能性には底知れないものがある。実は当時、田巻は別のオリジナル企画を構想中であった。しかし、『ギルステイン』の要旨を聞くと
「シンクロニシティですね。私が考えていた漫画企画と符合する部分が多い」
と、驚きながらも参加をこれまた快諾。こうしてアニメ、漫画が連動するプロジェクト[ギルステイン]は、走り出した。それがどこまで行ってしまうのか。誰も知らない。目撃者はあなた。まずは、月刊サンデーGX(ジェネックス)創刊誌上にて。その目で確かめて欲しい。
(文中敬称略)
原作・酒井直行先生から
目標は∞(無限大)!
韮沢クリーチャー+田巻氏の作画+そして僕のストーリー。
単純計算では1+1+1=3、しかし、僕たちの目指すものは無限大の広がりです。
昨日出来上がったばかりの田巻氏の描いた第1話の下描きを読んで、「ぬおおー、そう来たか! こいつは既に核分裂なみに拡大しているぞ!」と一人興奮して叫び、「負けるもんか!」と喚きながら、第2話以降の原稿に取り掛かっています。とにかく、乞うご期待!
漫画・田巻久雄先生から
先は見えている。
この話を見せてもらったその時に、これは行き着く所まで行かねば終わらない、いや、行くべき所へ行ける話だと。
編集長に返事を返すわずかな間にそんなことを思っていた。「できるのか? 地獄を見るぞ!?」だが、そんな躊躇はすでに過去のものである。とっくに地獄の只中だ。
目標は魂の極限、根源への挑戦。共に地獄の果てまでも。
ね、酒井さん。