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まんが家バックステージ

サンデー作家陣

若木民喜

Vol.41/2006年10月11日

現在、単行本4巻の作業も入ってきて、現場は色々大わらわです。

なのに、手元に「デッドライジング」と「プロジェクトシルフィード」が・・・・。これはどこぞの巨悪の陰謀ですかな。こういう時に限って面白そうなゲームがでるXBOX。やる時間ねーよ。来月とか致命的。

こんにちは、ワカキです。

今回は41話です。ユウキとドレイクの戦いが始まりました・・・ってここで毎回毎回、何かを言おうとするのですけれども。話し始めると、先先のことまで関わってきちゃうので、いっつも当たり障りのないことしか話せないのが辛い。一話完結の話であれば、「今回は色々あったけど、越後屋がなんだかんだで、罪もない町民たちがどうのこうので、桜吹雪が炸裂してカミーユがコックピットで『出してくださいよ』って言って終了なの!」とか全部言えるというのに。続き物の話ってのは難儀なものです。まあ、今回はドレイクの拳が発動する話でした、とでも言えばいいのでしょうか。いや、しかし、今回の話でボクが一番好きだったのは、ユウキとユヒナが話をするところだったのです。ユヒナはどういうつもりなの?敵か味方かカウボーイ。って、ここから先が言えないんだよなぁ・・・トホホ。


忙しいのもあって、最近また外に出なくなってます。
思えば、ボクが遠出したのは、夏休みに上野の科学博物館に行って以来です。ホントに外に出ない人間です。確かに去年までもずーっと引きこもってましたけど、それは金がないからであって、連載が始まってしばらくしたら多少はおこづかいもあるだろうし、仕事のペースに慣れてきたら外に出るようになるだろうと思っていました。

ところが、全く外にでません。むしろ、昔よりも出なくなってる! 自分の住んでいるマンションと、マンションの下にあるコンビニの往復しかいたしておりません。縄跳びの時はマンションの裏でやってるし。ボクのマンションの回りしか、世界がないのであります。絶海の孤島さながら! マンションのすぐ近くでフランス革命が起こってもきっと気づかないと思います。

まんが家だからこそ、外に出ないといけないというのに。

昨日、「七人の侍」の脚本を描いた橋本忍さんが、人物像の引き出しを溜め込むために山手線に乗り込んで絵になる人物を探す「山手線方式」という方法をテレビで話していました。モノを作る人間は家にいるだけではなく、外に出て空気に触れないといけないのです。


昔はネームの時だけは外に出ていたのですが・・・。

その昔、ボクは近所のミスタードーナツで毎日数時間粘るという日々を送っていました。お金がないので、ドーナツ1個とコーヒーで朝昼ごはんをまかなって、しかもネームも描く。つまり、ミスドで引きこもっていたのです。店から見たら殺意を覚える客であったでしょう。

毎日ミスドにいると、アルバイトの店員の顔も、常連のお客さんも、ほとんど大概覚えてしまいます。もちろん、話しかけたり交流なんかできる訳がありません。ボクは無言で店の隅に座りながら、暇つぶしに「毎日ミスドにくるこの人達は一体どういう人だろうなぁ。この人は家でどういう人なんだろうなぁ」とよく考えていました。上の橋本忍さんがやっていた方法をミスタードーナツでやっていたのです。さながら「ミスド方式」とでも言いましょうか・・・。

そのなかで一人、ボクが気になっている人がいたのです。

アルバイトの店員の一人に、変な女の子がいました。地味な子でした。声だけはものすごい可愛い声をしていましたが、何も目立つところのない小さい子です。常連のおっちゃんも他の若い華やかな子には声をかけていましたが。その子はスルー。エアポケットのような娘でした。

その子は毎日ケガをしていました。

最初はまあ、運動部にでもいるんだろうと思っていましたが、それが余りにも毎日違うところを、しかも変な所にケガしているのです。ある日は顔にまでケガをしていました。レジを打っている女の子が顔にケガしてりゃあ誰でも気になる。どういう子なんだろうなぁ。同じ店ばっかりに行っていると、どんどんどんどん気になってきます。

「なぜ、この子はケガばっかりしてるのかなぁ」

余りにも明るくて可愛い声と、裏腹の地味な雰囲気、そしてケガ。そのアンバランスさ。職業柄、想像力だけは発達しています。その内、この子が気になって気になって仕方なくなってきました。でも、まさか「なんでケガしてるの?」なんて聞ける訳がありません。女の子に話しかけるようなことできたらまんが家なんかになってないのです。怖い答えが返ってきても困るし。だから、例によってボクは店の隅で知らぬ存ぜぬを決め込んでいたのです。

ある日、ボクが例によってドーナツを買いにレジに並んでいると、後ろから「こんにちは」と声をかける人が。後ろを振り向いてみると。

なんと、そのケガ少女がいるではありませんか。彼女は私服でした。仕事上がりにドーナツを買っていたのです。向こうから声をかけてくるとは。ボクはすっかりビビってしまいました。ボクは彼女の名前と年だけは聞くことができました。17歳にしては地味な・・・。これ以来、彼女は店にボクがいる時にボクに挨拶をしてくれるようになったのです。これで一気に状況が進展する、みたいなギャルゲ的な展開はありません。ボクは彼女の挨拶に曖昧な返事と曖昧な笑みを浮かべながら、相変わらずネームを描き続けていました。しかし、ヘタに話せるようになったことで、余計に彼女に立ち入ったことを聞きたい気持ちは増していくのでした。

相変わらず、しょっちゅうケガしてたし。
どういう子なんだろうなぁ・・・。

そうするうちに、その女の子は段々店に来なくなってきました。ボクもミスドから足が遠のいていきました。余りにも通いすぎていたので・・・。

ある日、ミスドにふらりとボクが行ってみると、久しぶりに、例の彼女がいました。彼女はボクに言いました。

「今日でこの店やめるんですよ」

・・・・・。なんてこった。見ると、彼女はまた私服を着ていました。しかも、店の席に普通の客として座っていたのです。これは神の配剤だと思いましたね。よりによって最後の日に会えるとは! しかも、いつでも話してくださいという状況!
今こそ、ボクのなかで想像が広がりに広がった彼女について聞くときではないだろうか。今聞け! 今! 君は一体何でケガをしていたんだ!?

その時、ボクの携帯がなりました。
アシ仲間からのメールでした。
「ワカキさん、メシでも食べませんか?」


・・・・・・・・・・・・
ボクはあっさりと、その場を離れ、アシ仲間の男とラーメンを食べました。正直、聞くのが怖かったのです。でもボクは、ラーメンを食べながら心底後悔していました。ラーメンを食べた後ミスドの前を通ると、彼女はいませんでした。それから、一度も彼女を見たことがありません。結局、なんでケガをしているのか、ボクにはわからないままになってしまいました。

彼女のいないミスドで、ボクは、その子をモデルにキャラを1人作りました。

それが、朝倉です。



些細な話です。でも、
まんが家は、外に出ないといけませんね。
というお話でした。

では、また来週。




○おまけ○

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小学館 少年サンデー気付
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