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まんが家バックステージ

サンデー作家陣

久米田康治

Vol.31/2002年10月30日

 自分は前置きの長い人間は嫌いではない。
 むしろ単刀直入な人間は苦手だ。というよりはっきりモノを言う人間が苦手だ。そこどいてくださいとか、席替えてくださいとか、この日は休むんで、とか言いたい事をきちんと主張できる人間とは極力かかわりたくないんです。ぼくは自転車乗っててもベルすら鳴らせない男ですよ。
 ブレーキのキキッって音をさりげなく出して気付いてもらえればこれ幸い。コーヒーのおかわりなんか自分から要求するなんてめっそうもない、空のカップをそっとテーブルの端に置き気付いてもらえればこれ幸い。
 主張なんてできっこない人間なんです。だから主張できる人と関わると100パーセント言いなりになるしかないんです。
「忌憚のない意見を聞かせてください」と言われても、言えるわけないんです。
 議論することすらできない人間なんです。

 ああ私はなぜ人に生まれたのか。
 もっと下等な生物に生まれたのなら本能のまま生きられたものを。
 主張する事もなく主張される事もなく。
 ただ本能の赴くまま。

 食べたいときに食べ、
 眠りたい時に寝て、
 不愉快な事には牙を剥き、
 吠えたいときに吠える本能の赴くまま、
 休みたい時に休む。

 あの、これ、遠回しにお休みあったらいいなぁって言ってるって気付いてもらえてますでしょうか? 編集長様。
 前置き長くてすいません。
 言いたいのはそこだけなんです。

 帰ってきた言葉は、
やることきちんとやってから主張しようね。
だそうです。

 はいその通りですね。
10年まんが描いていても一度もアニメ化もされず、サンデーに貢献してない人間が何言っても駄目なんです。

 今日もまたベルを鳴らす事もできずブレーキの音をキキッと鳴らすそんな一生。

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