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まんが家バックステージ

サンデー作家陣

畑 健二郎

Vol.254/2009年9月23日

【制作秘話】

今日中にネームが完成しないと
絶対ヤバイ午後3時。
しかし連日の疲れのせいで
1ミリもテンションが上がらない。

目の前には白紙が16枚。
しかし鉛筆を持つ気すらしない。
このままでは本当にマズい。
マズイというか本当に落ちる。
だけど体はピクリとも言う事を聞いてくれない。

マズイ、マズイ。
焦る心。過ぎて行く時間。
千手ピンチだ!!

だが、それでも何とかするのがプロ。
プロの漫画家。

『漫画家っていうのはなぁ、
 無茶な事をしてなんぼの仕事なんだよ』と
かつて炎尾燃先生も言っておられた。

なので、とにかくテンションを上げなくてはいけない。

テンションを上げる手段。
かつてはスーパー銭湯とかに行くと上がっていたが
今日はとてもそれでは上がりそうにない。
ていうかゆっくり風呂につかっている時間もない。

ではどうする?
そこで閃き。
圧倒的閃きっ!閃光走る!!

『こんな風にテンションが上がらない時は
 テンションの上がりまくった人の集まる場所に
 行くのが一番なはず!』

ナイスアイディア!!

テンションの高い人間に囲まれれば
自分の最低のテンションだって
自然と上に向かうはず!!



なので……行ってきたよ!!

ディ○ニーランド!!!


もちろん一人でな!!!!


ビックリ!
周りの奴、全員なんか超笑顔。
なんかよくわかんないけど
園内を飛び回るスズメとかまでテンション高い。

園内に渦巻く圧倒的な幸せオーラ!!
凄まじい覇気!

そして我がテンション。
上がるどころか驚くべきマイナス効果。
心の中ブリザガ。
ダメージ9999。

ヤバイ、リアルに泣きそう。
けどお腹もすいたので
とりあえず近くにあった
『お腹の空いたクマ食堂(和訳)』で
カレーでも食べるかと店内へ。

「甘口と中辛、どちらになさいますか?」
「えっと……甘口で」
「…………甘口はお子様向けなので、
ほとんど辛さを感じないカレーになっておりますが……」
「甘口で……!」

別に辛いものが苦手なんじゃないんだ……。
普段ならどちらかというと辛いほうが好きなんだ……

けど今の弱った自分には
カレーの辛さも致命傷になりかねないんだ。
ちょっとカレーが辛いだけで
ポロポロ泣いてしまいそうになるほど
心がポッキリ折れているんだ。

一人、店の隅で黙々と食べるカレー。
店内は薄暗く、人もそんなに入っていない。
ここなら誰の目にも触れず
ゆっくりネームが描けそうだ。

そうだ!とにかく泣いても始まらない!
まずはとにかくネームを描くのだ!

ここまで来て
描けなかったでは済まされない!
自分はプロ!プロの漫画家なのだから!!

小さなメモ帳を広げ
ひたすらネームを描く自分。

音が遠くなっていく。
ネームに没頭すればするほど
周りの世界から意識が隔絶されていく。

鉛筆が走る。
そうだ。
集中すれば2時間で終わる仕事なのだ!

あと少し……

しかし!その時、
ふいに店内にどよめき走る!

一気に現実世界に引き戻される自分。
何事かと顔をあげる。

見れば店の入口に
なんかリスみたいな奴の着ぐるみが二匹
乱入していた。

大人にも子供にもお父さんにもお母さんにも
なんかリスみたいな奴、大人気!!

可愛いしぐさで手を振る、なんかリスみたいな奴。

店内大歓喜!!

ちょっと動くだけで
お婆ちゃんまでキャーキャー言ってる。

すげー……
すげーよ、なんかリスみたいな奴。

純粋に
なんかリスみたいな奴のカリスマ性に感動。

思わず手をあわせて拝んでしまった……
ご利益がありますように……


二時間後。
奇跡的にネームは完成しましたとさ。

ありがとう、東京ディ○ニーランド。

ありがとう、なんかリスみたいな奴。

そうして描かれたのが
来週の242話です。

どうぞお楽しみに!

それではまた来週〜☆

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