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まんが家バックステージ

サンデー作家陣

藤田和日郎

Vol.21/2004年11月24日

 こんにちは、お元気ですかね。
 11月上旬は暖かい日も続いた東京から発信しとります。
 この間、大学の講義に参加させてもらったのですよ。講義内容は、「漫画家の仕事」。
 国際教養学部の「日本の文化」の授業の一環だそうで、大学で漫画のお話をさせてもらいました。大したことも話せなくて、生徒の皆さんにゃ悪いコトいたしました。汗顔の至り。
 休日にオレが何してるかを話しても国際教養的にはなんの糧にもならんよねえ。
 でもその時間が終わった後に、たくさんの僕の漫画を好いてくださる方とお話しできて、個人的に感激いたしました。(肝心な講義の方はあまり上手くないのに、この調子のいいコト…スイマセン)皆さん、ありがとうね。
 その時に、「ふぢたさんの面白かった、またはおススメの小説や映画は何ですか?」という質問をされた男子学生の方がいらっしゃったので、今ここでちょっと考えてみますね。
 だいたい自分は大好きなコトをモロに漫画にしちゃうタイプなので、この手の質問に答えるのは非常にデンジャラス。あ、これはアレから影響受けたな、これはアレじゃないかなどとスグわかってしまう確率が高いのです。
 …でも書いちゃうのさ。なぜなら僕の漫画を形作ってる面白作品は、みんなにも見て欲しいから。

 大好きおススメ映画ね。コメディーから行こう。
『三人の逃亡者』(アメリカ版)ニック・ノルティとマーチン・ショート主演。出所して今度は真面目に生活しようと思ったタフな銀行強盗のプロが、自閉症の女の子を持つ情けない父ちゃんの強盗に人質にされる。そして女の子にだんだんなつかれた彼は… という僕のまさに弱い所ストライク作品。『うしおととら』のニオイがきっとしてくると思います。

『天国に行けないパパ』(アメリカ映画 監督グレッグ・チャンピオン)
 これも前記のものと同じに、笑って、ぐっと来ちゃうコメディー。定年退職まであと少しの保守的な刑事が、病気であと少しの命と診断される。それは誤診なのだけど、すっかりそれを信じた彼は、任務中に死亡した時にだけ高額のお金が支払われる保険に入り、残された妻と子供のために死のうとする。危険な犯人を追いかけまくるスーパー刑事になった彼だけど、死のうとすればするほど、なかなか望むように死ねない… っていうお話。面白そうでしょ。子供に対する愛情を、同じく子供を持つスーパーたてこもり爆弾犯人に語る所なんて、ノドが「ぐふ」なんていうよ。
 いけない、いけない。好きな映画だと説明が長くなってしまう。

 あと、『潮風のいたずら』(アメリカ映画 カート・ラッセルとゴールディ・ホーン主演)もいいよ。ヨットから落っこちて記憶をなくした嫌な性格の金持ち女に恨みを持つ、子だくさんのやもめ男が「どうしたんだい、おまえはオレの女房だったじゃないか!」と彼女をムリやり自分の妻にしちゃって… というストーリー。彼女がやったコトのない家事に悪戦苦闘しながらも、子供達のことをだんだん考えるようになってゆく様子はとっても痛快。「あたしの子供達に!」というセリフまでいったら皆もゴールディ・ホーン好きになってると思うな。
 いかん、やっぱり長くなる。

 本当の刑事の所に、少年役からの脱皮をはかる映画俳優が見習いに来て、へんちくりんなコンビになる『ハード・ウェイ』。(アメリカ。ジェームズ・ウッズとマイケル・J・フォックス主演。ジョン・バダム監督)
 コンビものをやりたい漫画家志望の人は見て欲しいな。性格の違う2人がどうそれを補い合うのかとか、すごい勉強になると思うよ。楽しいし、ハラハラするしね。

 他にも『サボテン・ブラザーズ』(アメリカ。スティーブ・マーチン、マーチン・ショート他主演)や、『ジングル・オール・ザ・ウェイ』(アメリカ。シュワルツェネッガー主演)、『ギャラクシー・クエスト』とか大好きなコメディーはいっぱいあるんですよ。全身全霊をあげて面白い設定を作り、ストーリーを展開させ、登場人物が魅力的なアメリカ映画のコメディーは大好きです。こんな漫画描けたらいいけれど、どっこい今やってる自分の漫画にゃ、そういう要素はあんまりナシ…

 さて、小説のおススメ。
 死滅しかかった世界で、暴走族のヘッドが自分の罪をナシにするコトと引きかえに、ペストの血清を装甲車で運ぶSF、『地獄のハイウェイ』(ハヤカワ文庫 ロジャー・ゼラズニイ/著、朝倉久志/訳)が本当はもっとも、もっともおススメなんですが、残念ながら手に入りにくいかもしれません。

 同じ理由で、ファンタジー小説の中でも、もう僕が身をよじり、もだえるくらいにかっこよく美しいタニス・リーの小説も手に入りづらくなっているのは、とてつもなく残念です。ハヤカワ文庫の彼女の作品『冬物語』『幻魔の虜囚』『闇の城』『死霊の都』『月と太陽の魔道師』は、どれもそんなに長くない一冊読切で、真のファンタジーの感覚バリバリのかっこよくもせつなく、戦いはあるが恋愛もキレイな素敵なジュヴナイルなんですが… 早川書房さまには伏して、これらの名作の復刊をお願いしたいところです。

 手に入る本のおススメです。
 吸血鬼にだんだん支配されてゆく町とギリギリのところで対抗する人間達の戦いを描いた『呪われた町』上・下(集英社文庫)と、超能力 パイロキネシス(発火)を持った女の子の研究組織からの逃走と戦いのストーリー『ファイアスターター』は、スティーブン・キングのたくさんあるモダンホラーの中でも未だに大好きです。ドキドキして、ああ、よかったァとなる感覚は、僕の漫画にもちゃんと入れなけりゃいけないと思ってます。

 ジャック・ヒギンズの『死にゆく者への祈り』は、プロの殺し屋が、引退直前に引き受けた仕事で、神父とその盲目の姪に目撃されてしまい、その2人を組織から守ることになってゆくという話です。やはりここでも自分の好みが出ちまいますね。悪いヤツがイイコトをすると、もう僕はメロメロなんですわ。
 主人公マーチン・ファロンが、最後の戦いの時に教会で「バッハ」をピアノで弾くのが、もう最高にイイのですよ。
 ありゃりゃ、長くなっちゃったなァ。また今度、好きな本については書かせてもらいますね。

 サンデー本誌の『からくりサーカス』は、いよいよナルミが大暴れする予定であります。
 ゾナハ病を退けるマシン「ハリー」が今後どういう使い方をされるかは、お楽しみに。
 しろがねの方も描かなくっちゃね。色々やらなくっちゃの『からくりサーカス』をどうぞよろしく応援してくださいまし。
 では、また。カゼひかないようにね。

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